
毎月送られてくる競売情報誌を眺めていると、競売までに至った原因(収入減など)はわかりませんが、一般的な住宅が多く見受けられ、そのほとんどが住宅ローンの支払いが不能になってというものです。
一般的な不動産の流通市場では「任意売却物件」も増えてきており、これは競売以上に住宅ローンの支払い不能が理由となっております。
住宅ローンの支払いができなくなるのは、第一に本人の責任も大きいですが、不動産の状況や住宅ローンの仕組みそのものにも問題があると思います。(だからと言って、返済ができない理由にはなりませんが)
シンプルな話として、家を売って返済できれば、毎月の返済ができなくなっても救われます。
買うにも売るにも諸経費がかかりますので、このくらいの資金力がなければ買ってはいけないのでしょうが、そこさえ担保できれば、いざとなったら売ればいい、という状況になっていればいい。
そのために考えておくことは次の通り。
1)不動産価格が横ばい、もしくは、返済が進む程度と同じ程度の下落幅で維持されていく。
かつての高度成長期やバブル期のように、経済要因で価値が維持されるのであれば何も考えなくていいのですが、相変わらずの下落傾向と今後も下落要因が多いことから、購入する時から、価値が下がりづらい不動産を買うこと。
このためには、土地については需要が維持される利便性が高い地域にすること、建物については経年劣化による価値の下落額を小さくするためそもそもの購入額を小さくしておく(新築よりは中古、ある程度落ち切りながらも残存期間が残る中古がベスト)。
2)住宅ローンの返済が滞ったら、不動産を売る(手放す)ことで返済が完了する仕組みの住宅ローンにする。
海外で一般的なノンリコースローンタイプの住宅ローンに仕組みが変わってくれれば、購入側では特に考えなくてもいいのですが、日本の住宅ローンは不動産の下落リスクは所有者が背負うことになるため、自身で考える必要があります。
売れれば返済が完了するようにするためには、住宅ローンの借りる金額を小さくしておくことで、不動産の価値が残高を常に上回るようにしておく、そのために自己資金を準備する。
もしくは、どんなに苦しくなっても負担できるくらいの返済負担としておく、このためにも自己資金を準備する。自己資金が厳しい場合は、借入金額を少なくしておくことです。
この1と2を考えると、土地を買って新築注文住宅を建てる、というのは、かなり余裕がある富裕層(高所得が長期に渡り続く所得者)が対象となります。(新築マンションは利便性はクリアも建物の割合が高く、やはり富裕層向け)
利便性が高い地域で土地を買い、経年劣化により価値が減少する建物にお金を投下し、住宅ローンの返済が安全帯に入るほどの自己資金と収入があるということですので。
逆に言えば、土地を買って注文住宅を建てられるというのは、それなりの所得層であるという証しかもしれません。