
新型コロナウイルス感染問題がより深刻化しています。
感染を抑えるために行動の制限をしておりますが、
その副作用として経済への打撃が大きくなっております。
特に驚いたのが、
「原油価格(先物)がマイナス価格」になったことです。
近頃、マイナス金利という言葉が一般的になりました。
通常、金利は、
「お金を借りて返すときに、お金を上乗せ(利息)する割合」
ですが、
マイナス金利では、
「お金を借りて返すときに、元金から減らしてもいいよ」
ということです。
お金をあげるから借りてくれ、
という異常事態ですが、
あまりにも経済が低迷していることから、
マイナス金利が発生し、
それでも回復しないことから、
マイナス金利も驚かなくなるほど一般的になりました。
これと同じようなことが、
原油取引の世界でも起こったのです。
原油に限らず、価格がマイナスということは、
「お金をあげるから、これ(物)をもらってください」
ということ。
このようなことが起こったのは、
需要を大きく上回る供給と売れ行き不振で、
在庫がだぶついてしまい、
在庫を保有する石油タンクも一杯、
そして、タンカーも一杯、
もしくは、あまりにも保有コストが高く、
その保有コストよりも安く済むなら、
お金をあげてもいいから引き取って欲しい、
ということです。
そして、これと同じことが、
日本の不動産でも増えてきました。
不動産の空き家問題などで、
TVで頻繁に登場する「越後湯沢のリゾートマンション」。
今(4/25)、レインズで、
越後湯沢駅が最寄りのマンションの売り出し情報を検索しました。
ヒットしたのが113件、
最低価格が5万円、価格順に70件目までが48万円、
71~101件目までが50~200万円です。
この価格は売り出し価格ですので、
実際に取り引きまで至るかは分かりません。
不動産は保有していると、固定資産税が課税され、
さらに、マンションの場合、管理費等も必要となります。
戸建てでも、草刈りなどの費用は必要です。
現金や株式などであれば腐ることはありませんが、
不動産の場合、建物は使っていないと傷んで減価していきます。
利用することもない場合、
この維持管理費の負担をなくすため、
売却を試みますが、
不動産そのものに利用価値を見出してくれる人がいなければ、
売却することができず、維持管理費の負担が続きます。
このことを考えると、
タダでもいいから引き取ってくれ、となり、
さらに進むと、多少のお金を渡すから引き取ってくれ、
となります。
これが、不動産のマイナス価格です。
例として越後湯沢のリゾートマンションを取り上げましたが、
郊外住宅地でも、地方の都市部でも、
同じような現象が起き始めてきています。
また、立地がよくても、
問題がある土地、建物、マンションでは同じことが起きます。
これからの不動産市場は、長期的なトレンドとして、
人口減少・日本経済の衰退・若年層のモラル低下などがあり、
短期的なトレンドとしてコロナウイルス感染問題、消費税増税などがあります。
高度成長期、バブル期などの上昇傾向時は
失敗しても取り返しがつきましたが、
今から先の下落傾向時は失敗すると
人生の致命傷にもなりかねなくなります。
明るい展望が見えないこと(下落傾向)が
不動産売買を難しくしております。
相続などの単純売却は価格だけですが、
住宅という実需は生活の根本に関わるため、より難しくなってきます。
マイナス価格が現実的になってきた今日、
不動産を売るのも買うのも、
長期的、総括的な視野のもと、考えていかなければなりません。